2024.05.24
フィレンツェ通信 3
美術学部 デザイン学科
フィレンツェ通信 3
(バチカン美術館・ローマ散策編)
早朝6:00、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ駅からイタリアの新幹線フレッチャロッサ(赤い矢という意味)に乗って首都ローマへと向かいます。
ン市国のバチカン美術館の最寄り駅オッタイボ駅で降りて美術館へと歩いていきます。
りと囲んでいますので、その壁に沿って歩き出すとすぐに長蛇の列に当たります。先が
見えない程のこの列の先が、歴代のローマ教皇の膨大なコレクションを展示しているバ
チカン美術館の入り口です。
私は予約をしていたので予約者の待機列に並びますが、予約者だけでも先を見通せない
程の人数が並んでいます。そこに当日券を求める人々の列も加わり、この時点であまり
の人の多さに気圧されてしまいます。バチカン美術館の年間来場者数は600万人にのぼる
そうで館内も多くの人で混雑していました。バチカン美術館は12の美術館の集合体です
のでとても広いです。
ノープランで歩いていると見逃してしまう作品もあるので事前に調べておいた絶対に
観たい作品を見るために絵画館(ピナコテカ)にまず向かいます。ここは比較的空い
ていて(すごい作品が並んでいるのに不思議)ラファエロ、レオナルド・ダ・ヴィン
チ、カラバッジョと名だたる作家の作品をじっくりと鑑賞しました。
そこから人波に揉まれながら先へ進んでくと、かつて半泣きになりながらデッサンした石膏像のオリジナルに出会い、造形の美しさに感動し、地図の間と呼ばれる壁にはイタリアの地図、天井にはびっしりと詰め込まれたフレスコ絵画の迫力に圧倒されたりします。館内はどこへ行っても壁や天井にはフレスコ画、いたる所に大理石の装飾、モザイクによる床の装飾と、美しさに囲まれています。観客の多くは常に上を見上げ、足取りは遅くなります。そして起こる大渋滞。スタッフが止まらず進むように声を掛けますが、なかなかのゆっくり進行です。
そんな中奥へ奥へと進み、ラファエロの間を通過してやっとの思いでシスティーナ礼拝堂へとたどり着きました。ミケランジェロが描いた天地創造から世界の終り、最後の審判が見られる場所です。ここは残念ながら写真はNG。
画集で何度も見てきた有名すぎる作品は、実物を見ると時間が経つのを忘れるような力強さと美しさがあります。すでにここに至るまでに3時間程ひたすら古典の大作を見て、上を見上げ続け、限界に近い首と目であっても天井を見上げずにはいられない魅力に溢れていました。ミケランジェロの技巧を懸命に目に焼き付けて立ち去ることを名残惜しみながら美術館を後にしました。
さて、美術館を出て15分程歩きますとカトリックの総本山、サン・ピエトロ大聖堂があります。こちらは予約なし、当日来場のみで内部を見学できるのですが、こちらも美術館と同じくすさまじい待機列。既に体力のほとんどを使い果たしていたので、今回は外からの眺めを堪能してバチカン市国を出ることにしました。
サン・ピエトロ大聖堂からローマ・テルミニ駅までは、寄り道せずに歩いて1時間ちょっとで
すが、せっかくローマを歩くのに寄り道しないのは勿体ないと、カラバッジョの作品が見られ
る教会や美しい広場、城、パルテノン神殿やトレビの泉なんかを訪ねながら3時間程かけての
んびりと散策しつつ駅へと向かいます。街の中も溢れんばかりの観光客で、これがローマの日
常なのかと思うと、この地に住む人々に尊敬の念すら感じました。フィレンツェも観光客は多
いですが、見どころがギュギュっと固まっているので、そこを避ければ観光客の大渋滞に巻き
込まれることは少ないです。
こうして無事にローマ・テルミニ駅へと戻り、ありがたいことに大きな遅延もなく、また新幹
線に乗りフィレンツェへと帰ることが出来ました。
たった一日のなかで頭が沸騰するほどの学びがあり、帰宅した直後は疲れて気絶するように眠りましたが翌日は痛む首をなだめつつひたすら感想や学びを日記帳に書き続けました。
次はどこへ行こうか、ガイドブックとにらめっこしながら考えています。